©Priska Ketterer

ベイビーオペラ『ムルメリ』

幅広い年齢層に向けた豊かなプログラムで、だれもが楽しめるサラダ音楽祭。なかでも、赤ちゃんたちのための「オペラ」に今、大きな注目が寄せられています。その名もベイビーオペラ『ムルメリ』。これは、スイスのバーゼル歌劇場で2017年に初演された、赤ちゃんのためのオペラなのです。ヨーロッパで大きな話題となっている本作が、サラダ音楽祭にてアジア初上陸します。東京芸術劇場『ムルメリ』担当の横堀さんにお話を聞きました。

お客さんは赤ちゃんだけ?

『ムルメリ』は、赤ちゃんのためのオペラです。2歳未満の赤ちゃんまでが参加できます(ごめんなさい、2歳になったら入れません)。赤ちゃんお一人につき、大人の保護者2名までご入場いただけます。

どんな内容なの?

まだ、言葉を話すことのできない赤ちゃんたちも、さまざまな音、まだ聞いたことのない音への好奇心でいっぱいです。 そんな赤ちゃんの耳に届けられるのは、3人のオペラ歌手たちによる、豊かに響くいろいろな声(歌だけとは限りません)。会場に置かれた石なども使いながら、スイスの自然の音を表現していきます。『ムルメリ』は、言葉や物語ではなく、赤ちゃんの感性にうったえる響きに満ちた、ユニークなオペラなのです。
ちなみに、作品タイトルの「ムルメリ」とは、アルプス山脈に生息するリス科の動物マーモットのドイツ語(ムルメルティーア)と「つぶやく、(小川・泉が)さらさら音を立てる」という意味のドイツ語の動詞「ムルメルン」の2つの言葉を掛け合わせたものになっています。

OK!オーケストラ

何分ですか?

約30分の公演です。途中入退場OKですが、赤ちゃんがぐずったり泣いてしまっても、慌てて会場の外に連れ出さなくても大丈夫。だって、赤ちゃんのためのオペラなのですから。

どんな場所でやるの?

会場は、東京芸術劇場のシアターイースト。普段はさまざまな演劇やダンスが行われる劇場ですが、この中にさらに細長い箱のような小さな劇場が作られます。木目の柔らかな、親しみやすい小さな空間で『ムルメリ』は上演されます。床にはこの作品のためにスイスから送られてきたマットが敷いてあり、その中央に歌手3名がいます。赤ちゃんたちは、お母さんやお父さんのお膝の上から離れ、そのマットの上でゴロゴロしてもいいし、歌手に近づいてもOK。小道具を触って、一緒に音を出してもいいんです。
未知の音に出会う赤ちゃんたちは、どんな風に楽しんでくれるでしょうか。親御さんは赤ちゃんの新しい一面に出会えるかもしれません。

OK!オーケストラ

オルガンでLet’s SaLaD!

サラダ音楽祭のメイン会場となる東京芸術劇場のコンサートホールには、日本が世界に誇る素晴らしいパイプオルガンがあるのをご存知ですか? 巨大なオルガンで、パイプの数はおよそ9,000本! 見た目が木目調の温かみのあるデザインの楽器と、白くてオシャレな近代的なデザインの楽器とが、背中合わせに配置されています。木目の方は、じつは2台分のオルガンが組み込まれているのです。だから合計3台!曲によって演奏するオルガンを変えられるため、ステージの上をゆっくりと回転する様子も迫力があります。
さて、そんな劇場自慢のオルガンが、サラダ音楽祭でも大活躍します。「オルガンでLet’s SaLaD!」は、4歳のお子さんから入れる45分間のコンサート。オルガンを中心とした盛りだくさんの内容です。東京芸術劇場「オルガンでLet’s SaLaD!」担当の曾宮さんにお話を聞きました。

3種類のオルガンで、名曲を味わおう

オルガン曲の超有名な作曲家といえば、J.S.バッハ。子どもたちにも、あの白いカツラをかぶったバッハのお顔はよく知られていると思います。「トッカータとフーガ ニ短調 BWV565」は、きっとだれもがどこか耳にしたことのある名曲でしょう。その荘厳な響きを、是非「バロック・オルガン」の生演奏で体感してください。
ケルルの「カッコウ」は、鈴の音や水笛の音も登場する可愛らしい楽曲。ミーントーンという美しい調律による「ルネサンス・オルガン」で演奏します。
そしてヘンデルの「私を泣かせてください」では、ソプラノ歌手のコロンえりかさんが登場。心に染み入る歌声とオルガンのコラボレーションに耳を澄ませてください。
フランス国家の「ラ・マルセイエーズ」やフランンクの「天使の糧」では、白いモダン・デザインのオルガンが使われます。輝かしい響きがホール全体を包み込むことでしょう。
オルガンの演奏は、東京芸術劇場オルガニストの川越聡子さん。オルガンにはさまざまな音色がありますが、楽器のことをよく知り尽くした川越さんによる音の組み合わせ(レジストレーションといいます)で、じっくりとお楽しみください。

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子どもたちのコーラスや「手歌」との、オリジナル・コラボレーション

プログラムの後半は、オルガンと合唱とのコラボです。そもそもオルガンという楽器は、人々が教会で賛美歌を歌うときに伴奏する楽器として活躍・発展を遂げてきましたから、合唱の響きとのアンサンブルも、みなさんも一緒に参加して楽しんでいただけたらと思っています。
この日は福島県相馬市から「相馬子どもコーラス」のみんなが参加してくれます。福島の復興の歩みの中で、エル・システマジャパンの教育理念のもとに結成されたこのコーラスは、小3から高2までのメンバーが活躍しています。さらに、聴覚障害や自閉症、発声に困難を抱える子どもたちで結成された「東京ホワイトハンドコーラス」からは、白い手袋をはめた手によって歌を表現する手歌の「サイン隊」と、盲学校に通う子どもたちによる「声隊」が参加し、素晴らしいパフォーマンスを披露してくれます。注目の若手作曲家・上田真樹さんの「あめつちのうた」、そして情景豊かな童謡「ゆうやけこやけ」を、どんなふうに「手歌」で表現してくれるのでしょうか。会場の皆さんにも「手歌」を体験し、参加いただきたいと考えています。みんなで一緒に歌い、体で音楽を表現しましょう!

文/飯田有抄(クラシック音楽ファシリテーター)

OK!オーケストラ
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